高橋晴美の音楽ネットワーク ニュースレター      

 いよいよ梅雨明け、暑い毎日が続いておりますが、皆様お元気でいらっしゃいますか。私は6月18日から1週間、丁度前日に梅雨明けした沖縄に行ってまいりました。広がる青空と真っ青な海、そして白い入道雲を毎日眺めながら、久方ぶりの大自然を満喫してまいりました。1年2ヶ月ぶりの沖縄。着陸態勢に入ると、あのエメラルドグリーンの美しい海が眼下に広がります。空港からモノレールに乗り景色を眺めていると、何ともいえない懐かしさが込み上げてくるのです。

 今回の沖縄は、来年のコンサートの打ち合わせと公開レッスンだけではなく、日頃の雑事から思い切って離れて新たな作品を生み出すための充電の旅でもありました。沖縄は鉄道が無いため、どこへ行くにも車がないと動きが取れません。ありがたい事に、沖縄オフィスワン社長の佐古さんが5日間の休暇をとり、私の行きたい所をくまなく案内してくださいました。お陰さまでお天気にも恵まれ、感動的な1週間の旅となりました。

 大自然と親しむ1週間の旅は、沖縄北部の「海洋博公園」から始まりました。「美ら海水族館」は昨年も行きましたが、今回はカメラを片手に、ジンベエザメの餌付けの動画を撮り、「熱帯ドリームセンター」にも足を伸ばし、自然の美を堪能いたしました。

 水族館が大好きな私は、浜辺の天然の生き物達と戯れる事は最高の楽しみです。炎天下だというのに汗をかきながら夢中で魚を追いかけ、蟹を追いかけ、ヤドカリと遊びます。美しい貝殻を探していると時の経つことも忘れてしまいます。夏至のため、7:30を過ぎても空は明るく、古宇利島に渡り夕暮れの浜辺で貝殻拾いをしました。美しい夕焼けが空を染め、古宇利大橋から眺める空の色はため息が出るほど優しい色合いでした。

 翌日は南部を目指しました。昨年訪れた「木風舎」に立ち寄りました。ニライカナイの橋の上に立つ「木風舎」は手作りの家具や陶器が並べられており、作品を眺めていると「アイスコーヒー入れましたので、どうぞお召し上がりください」とオーナー夫人の声。暫しの間、親切なオーナー夫妻と4人で話をしました。木風舎にはグランドピアノが置いてあり、「こんな所で作曲出来たらどんなにいいだろう…」と思ったのですが、実際は湿気が多いため調律が大変との事。ピアノにとっては決してパラダイスではないようです。

 昨年4月に写真を撮ったカフェ「くるくま」からの眺めをもう一度味わいたくて、「くるくま」で昼食を取り、琉球最高の聖地といわれている世界遺産の「斎場御嶽(せーふぁうたき)」を尋ねました。御嶽(うたき)とは神が降臨し鎮座する聖域を意味し、琉球王国は7つの御嶽から出来たと伝えられています。大きな2枚の岩の奥には遥拝所があり、木々の間から、遥かかなたに久高島を拝することが出来ます。そのたたずまいに惹かれ、どうしても訪れてみたくなりました。琉球開闢伝説によると、「あまみきよ」(琉球開闢神)の上陸地とされ、五穀発祥地と伝えられています。

 翌日はその久高島にフェリーで渡りました。青い海と青い空と風と光が、私を包みます。久高島は何も無いと聞いておりましたが、木々の間に道が通っていて、観光客は皆自転車で島を一周するのです。私もいつもなら自転車で回るところ、なぜか歩いてしまったのが運のつき。行けども行けども本当に何も無く、昼過ぎの太陽が重いほどにのしかかってきます。「久高島で修行をするとは思わなかったなあ・・・」汗は滝のように流れ、炎天下を8キロ近く黙々と歩くことになろうとは思ってもみませんでした。しかし、眼下に真っ青な珊瑚礁の海が広がった時は感動でした。うっそうとした木々の中にある斎場と、民家に祭られている神棚に、琉球の長い歴史と人々の信仰の深さと、琉球発祥の神聖な気を感じました。


 今回の旅で最も心に深く刻まれた所は「平和祈念公園」でした。夕方訪れたので、資料館はすでに閉館していましたが、6月23日「慰霊の日」に行われる式典の準備がされており、白いテントが張られた公園に立つと、沖縄戦没者慰霊祭の重さが無言のまま伝わってきました。市民子供まで巻き添えにした沖縄戦。平和の火の周りを囲む礎には、戦死が確認された24万人の犠牲者のお名前が一人ひとり刻まれており、日本人だけでなく、アメリカ人も中国人も韓国人もお名前が刻まれていました。その前に立つと込み上げてくるものを押さえられません。振り返ると後ろには一面の青い空と海が広がっているのです。空と海に向かって立っている礎を見ていると、不思議と悲惨な苦しみよりも「未来への希望」「あたたかさ」「愛和の大切さ」が伝わってくるのです。今までこの場所ほど「ひとつ」の歌が溶け合う場所を訪れた事がありませんでした。胸が熱くなり、今こうして自分が生かされている事の意味をあらためて感じて帰ってまいりました。

 日曜日は、3:00から公開レッスン。作品を歌ってくださる方々との出会いがとても楽しみでしたが、会場に入ると同時に皆さんの温かな拍手と笑顔に包まれました。「山林舎」という緑に囲まれたガラス張りの喫茶店に、約30名の方がお集まりくださいました。ケーキと飲み物をいただいて暫し歓談の後、コンサート発起人の真栄城早由さん、佐古さんの挨拶に続き、早速練習を始めました。グランドピアノの椅子に座ると、開いたふたの間からほぼ全員を見渡す事が出来ます。まずは全員で「ひとつ」を歌いました。そして女声コーラス10名による「母に贈るうた」を指導したあと、お二人のソロボーカルで「Silent Love」と「Jewelry Time」のご披露、「海よりも空よりも」の個人公開レッスン、最後に「ひとつ」の混声合唱の指導をさせていただきました。皆さん、一生懸命に私の話に耳を傾けてくださり心合わせて歌って下さいました。真正面で団員の表情を見ながらピアノを弾いていると、とてもレッスンしやすいだけではなく、気が交流して人と人がとけあう幸福感が生まれます。レッスン終了後、お一人ずつマイクを回して感想を伺ってみたところ、皆さんがそれぞれの思いを切々と裸の心で話してくださり、どんな思いで参加してくださったかよくわかりました。『沖縄の人達は「いちゃりばちょうでい」(会えば兄弟)とよく言う』、と佐古さんから聞きましたが、1週間の旅を終え、飛び立つ飛行機の窓から眼下に見える美しい海岸線を眺めていると、熱いものが込み上げてきました。「ありがとう、沖縄。又来ます!」沖縄の大自然と沖縄のお仲間に温かい真心をいっぱいいただいて帰宅しました。

野崎真紀子さんからのお便り

 沖縄で、「Silent Love」と「Jewelry Time」を歌ってくださった野崎真紀子さんが、沖縄から帰って3日後に自宅までレッスンにいらしてくださいました。真紀子さんからのお便りをご紹介させていただきます。

高橋晴美先生へ

先日は、再び沖縄でお会いすることができ、また、27日には晴美先生の自宅でレッスンをしてくださり、ありがとうございました。

 昨年、晴美先生の曲に出会い、こんなに心を打たれる曲があったのかと感激し、その後、先生が沖縄に足を運んでくださり、ピアノのタッチが言葉に表すことができない不思議な感じだったことを思い出します。今回御来沖するということで、とても楽しみにしていました。晴美先生の曲には、何か不思議な力があり、人の心を穏やかにします。私は、一番安心する母のお腹の中にいる感じがしますが…(ちょっと変ですね)。

 先生は平和の礎を訪れた際、「『ひとつ』が溶け合う所…」とお話していましたね。実は、『ひとつ』と『海よりも空よりも』を歌うと、私も平和祈念公園の資料館から平和の礎を眺めた景色を思い出します。礎の後ろには青い海と青い空があり、沖縄戦で大勢の人が亡くなりましたが、海や空は変わらず、きっと生き残った人たちはこの海と空を見ながら、前を向いて生きてきただろうと、勝手に想像しながら歌っています。どうしてこんなにも沖縄にあう曲が先生から生まれるのでしょうか。不思議な出会いですね。

 出会いといえば、6月22日に喫茶山林舎でミニホットレクチャーコンサート?に集まった皆さんは、きっと晴美先生の虜になったと思います。また沖縄にぜひいらして、たくさんのうちな〜んちゅ(沖縄の人)と出会い、交わりを持ち、すばらしい演奏や歌をお聴かせください。みんなで首をながーくしてお待ちしております。

 また、27日には突然無理を言って晴美先生宅でレッスンをしてくださり、本当にありがとうございました。ご自宅では聖なる地に足を踏み入れたような気持ちで、目頭が熱くなりました。心の底から歌いたい曲と出会い、私がどこまで歌うことができるかは未知の世界ですが、心を込めて歌いたいと思います。これからも東京に行った際は、レッスンを受けさせてください。よろしくお願いします。       

野崎真紀子


 沖縄では、来年6月に予定している沖縄でのコンサートに向けて少しずつ準備が始められておりますが、私も、帰宅してから早速新曲に取り組んでおります。どんなコンサートになるのか今からとても楽しみです。コーラスハルミオン8月9日のけやきホール強化練習では、まず新曲からスターとしたいと思っております。コンサートに向けて、わくわくしながら準備を進めてゆきたいと思います。

                            

現在決定している今後のコンサートの予定

   

                 

2008年7月吉日 高橋晴美
            

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