高橋晴美の音楽ネットワーク ニュース レター  


19年振りにかしまし娘が再会!

 
 秋風に、コスモスが揺れる季節となりました。
皆様お元気でいらっしゃいますか。
 9月7日、フルーティストの鈴木康子さんとVovalの李京順さんが示し合わせたかのように19年振りに我が家に集まりました。鈴木康子さんは、 1995年2月にパリの在仏日本大使館で行われた高橋晴美のデビューコンサートの際に大変お世話になったフルーティストで、現在はパリの16区に在住。李 京順さんは北海道から埼玉県に戻り、月に1度カルチャーセンターで歌唱指導を終えた帰りに我が家を訪ねてくださいます。李さんと言えば、覚えていらっしゃ る方も多いと思いますが、1995年6月に行われた阪神淡路大震災のためのチャリティーコンサートで「ひとつ」を初めて歌って下さった友人です。来年「ひ とつ」誕生20周年を迎えるこの時に、3人がまるで引き合わせられたかのように偶然時を同じくして再会出来た事に、「これは何か意味があるわね!」と、3 人共感じずにはいられませんでした。

『人と人がとけてひとつ、国と国がとけてひとつ』と歌われるひとつの3番4番の歌詞の裏には、途方もなく大きなドラマがありました。
「ひとつ」の曲を演奏する前や指導する時にこの曲が誕生した時のエピソードをご紹介してまいりましたが、全てをお話しするにはあまりに長いストーリーでい つもお話ししきれませんでしたので、この機会に少し補足説明をさせていただこうかと思います。


「ひとつ」誕生エピソード
 1995年2月パリに出発する2日前、日比谷シャンテで行われた李京順コンサートの会場で、 コンサート後にパリ行きの航空券がミュージシャン全員に渡されました。フルートの鈴木康子さん、ベースのジャンボさんこと小野照彦さん、ドラムの八木秀樹 さん、音響の櫻井さん、スタッフで参加したキム・チャンスー、そして私…。しかし、そこにボーカルの李さんのチケットだけがありませんでした。北のお父様 と南のお母様の間に日本で生まれ育った李さんは、当時の国籍が北朝鮮だったために、ビザが最後まで下りなかったのです。

 コンサートの帰りに康子さんが家に来て打ち合わせをし、急遽、歌の曲全曲をフルートで演奏する事に決め、それから徹夜のアレンジ作業が始まりました。パリ行きの飛行機の中では「私の分も頑張って来てね!」という李さんからの手紙が回り、皆無言の出発となりました。

なぜ…なぜ…音楽を愛する心に境界線はないのに、私の歌をこよなく愛してくれた李さんがなぜ…。その想いはやがて「必ず成功させよう!!」という力強い想いへと変わって行きました。
 機内のテーブルは編曲机となり、五線紙を出して寸暇を惜しむようにアレンジをやり続けました。勿論パリについても、大使館の会場のピアノをお借りして、 毎日アレンジと練習が続きました。歌詞は、大使館の方がフランス語に訳してくださり、本番当日皆さんに配られました。結果、コンサートは大成功に終わり、 翌年4月に二人の歌い手さんを加えての『80年代日本のポップスと高橋晴美の世界』の開催が決まりました。

 帰国後すぐ、6月に行われる阪神淡路大震災のチャリティーコンサートの準備に取り掛かりました。
 「母に贈るうた」「今を抱きしめて」「As if Paradise 」「二人を乗せて」色々な曲が誕生し、4月には、ミュージシャン歌い手さんが我が家に集まり夜中まで心熱くしてリハーサルを行いました。そこには、唯一パ リに行けなかった李さんの姿もありました。使い慣れないシンセサイザーに困り果てていると、アルバイトを人に変わってもらってキム・チャンスーが自転車で 駆け付けてくれました。情熱をぶつけ合い、夢中な時が流れました。音楽と愛に満ち溢れた時間空間だけが私達の心をひとつにしていました。
 皆が帰って一人部屋に残った私は、例えようのないほどの感謝感動で胸がいっぱいでした。



 詞と曲が一気に口をついて出て来て無我夢中で五線紙に書きとめました。1時間 足らずで書き終えた後ベランダに出ると、丁度東の空が明るくなり始める頃でした。昇り行く太陽を拝みながら、涙がほほを伝わり落ちました。『人生は起る事 全てに意味があり、無駄なものは何一つないのだ』『全てが自分に与えられていたカリキュラムであったのだ』と、それまでに乗り越えて来たひとつひとつの苦 しみの意味が、一瞬にして解けた瞬間でした。

 こうして生まれた「ひとつ」は、1995年6月16日、横浜のエクセレントコーストで行われた阪神淡路大震災チャリティーコンサートの初演で李京順さん に歌っていただき、初めて愛の種が蒔かれる事となったのです。既に第2部の最後の曲は「Good Bye」に決まっており、アンコールは鎮魂歌としてボーカリーズに決まっていたため、「ひとつ」は第1部最後に演奏いたしました。「ひとつ」が終わると同 時に、客席は涙を拭う方がいっぱい…、その光景には私自身が一番驚きました。
そして、その翌日から「ひとつ」に関する問い合わせの電話が始まりました。
 
 あれから19年…。皆それぞれの人生を歩み、大波をいくつも乗り越えての再会は、一言で言い表せないものがありました。お互いに元気で音楽を愛し続けて来られた事に感謝し、次なる目標を掲げて別れました。




9月6日、大聖堂に 元気いっぱいに響き渡った幼稚園児の歌う「ひとつ」

 9 月6日立正佼成会大聖堂に於いて、佼成学園創立60周年式典最後に「佼成幼稚園年長さんとお母様方、そして中高生60名による『ひとつ』が演奏されまし た。きっかけは、2007年11月と2008年11月に、セシオン杉並と杉並公会堂で行われた『ヒロシマナガサキ平和の祈り五色のコンサート』で佼成幼稚 園園長先生が『ひとつ』をお聴きになられた事でした。それ以来ずっと、〜いつか佼成幼稚園の園児達にも『ひとつ』を歌わせたい〜という熱い思いを温めて来 られたとの事でした。
 今年2月に、園長先生より初めてお電話がありました。4月に夫と共に直接お会いして具体的なお話しをお聞きし、その指導とピアノ伴奏をお引き受けいたし ました。小学校の指導は何回か経験があるものの、初めての幼稚園児の指導に一瞬戸惑いを感じましたが、これからの日本を背負って行く子供達の情操教育に、 何かほんの少しでも良い形で関わる事が出来たら嬉しいと思いお引き受けいたしました。夫が大の子供好きな事もあり、始めはどうなる事かと思った練習も、会 を重ねるごとに絆が深まって行くのを感じ、本番は明るく元気いっぱいの「ひとつ」の大合唱となりました。

  終了後のレセプションでは、子供達が次々にやって来て人懐っこそうにしきりに話しかけてきてくれました。大事な飴玉を持って来てくれたり、デザートを運ん でくれたり、お花を一輪胸に挿しに来てくれる姿に、「ああ…このお仕事をお引き受けして本当に良かった…」としみじみ思いました。
傍に座っていた中国人の男の子が、波が描かれている壁を指さしながら私に話しかけてきました。「空と海がとけてひとつ」そして、お母様に向かって「あなた とわたしがとけてひとつ」と。その姿が何ともほほえましく、「ああ…こんな小さな子供でもちゃんと受け止めてくれている!」と感無量でした。先ほど飴玉を 持って来てくれた男の子でした。そのお母様からメールが届いたのでご紹介させていただきます。 

高橋先生

今晩は。佼成幼稚園 コーラス メンバー 王 謙文の母 胡 祖耀です。
 昨日コーラスの発表は大成功に収まり、皆さんと同じく感慨無量です。子供達は人に対する優しい気持ち、皆んなと「ひとつ」になることは如何に大事なのかが歌の練習を通じて分かってきたように思います。
 このような気持ちを一人でも多くの方に伝えたくて歌詞をwechatに載せました。上手く訳せるかどうかは分かりませんが、やってみたいと思います。よろしくお願いいたします。



高橋先生
 昨夜「ひとつ」の歌詞(日本語版、英語版、中国語版)とyoutubeの映像をWe chatに載せたら、早速「このようなお歌は全世界の人々に歌ってもらいたいね」というメッセージをもらいました。
中国語訳には「その日を信じて今日も生きる」を「その日をいつかきっとやってくると固く信じている」としか訳せなくて困っています。皆さんの知恵をお借り して上手くできたらいいですね。いつか中国でこの歌を演出されたらと祈ります。歌詞は多分プロの方に頼まれた方が良いかと思っております。
 
私は「ひとつ」に与えられた感動を友人、知り合いの間だけでも分かち合いたいと思います。




  生きていると、本当に色々な試練に遭遇します。どんなに辛いことも、決して背を向けないで越えて行きたいものです。問題が起きた時、相手を責めるのではな く、己自身を見つめて見つめて、更に見詰めて行くと、ふと気付かされ、詫びる気持ちと感謝の気持ちが身体の中から湧き起こってくる瞬間があります。その時 に、初めて与えられたハードルを乗り越える事が出来るのかもしれません。

 人生は、これでもかというほどカリキュラムの連続です。そのひとつひとつの試練から決して逃げることなく、前向きに感謝で受け止め乗り越えてゆけてこ そ、人を『愛し切る』という事に繋がって行くように思います。自分自身それが出来なくては、『人と人 国と国がとけてひとつ』はとても語れません。やは り、私にとって『ひとつ』『海よりも空よりも』は、生涯のテーマソングです。
 今、最も自分を困らせてくれる人に対して、『野の花ひとつ』の心を、いつも持ち続けていたいと思います。
                               
                                     2014年9月吉日 
                                       高橋晴美

    ★2014年11月16日(日)15:00〜 
 後援会会員様限定 リフォーム完成記念 サロンコンサート


ネットワーク会員の皆様
 いつも、温かなご支援を賜りまして本当にありがとうございます。お陰さまで、今年2月より始まったリフォームが遂に完成いたしました。つきましては、リ フォーム完成を記念して、11月16日日曜日15:00よりサロンコンサートを開催させていただきたいと存じます。25名様限定の小さなスペースですが、 音楽とお話しを交えて、コンサートとはひと味違ったアットホームな楽しい一時を是非ご一緒しませんか!
皆様との語らいの一時を楽しみに、出演者一同皆様方のお越しを心よりお待ち申し上げております。






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