2021年 夏 summer 号

この夏の 私の挑戦!

 猛暑が続いておりますが、皆様お元気でいらっしゃいますか。コロナ禍でどうなるかと危ぶまれ続けた『東京オリンピック』が開催された2021年の夏、私にとりましても忘れる事の出来ない自分への挑戦の夏となりました。

 幼い頃から中耳炎を繰り返し、耳が聞こえなくなり、左耳の鼓膜から水を抜いた経験のある私は、学校にプールが無かった事以上に耳に水が入ることを恐れ、全く泳げないまま何十年と生きてまいりました。2005年のお正月に『君のいない海』が生まれたボラカイ島に行った時も、ミュージシャン仲間と一緒にシュノーケリングをしようとドキドキしながら試みたものの、海に入った途端私のライフジャケットだけが大き過ぎてそのままスポンと抜けてしまい、溺れかけて死ぬ思いをしたというほど、私にとって海は大きくて恐れ多い未知の世界だったのです。2007年から2014年まで沖縄、宮古島にコンサートに行きながらも、一度も海に入った事のない私でしたが、2016年夏、新たな世界の扉を開きたくなり、この時から海への冒険が始まりました。(2016年夏号参照

 思えば、『ひとつ』『海よりも空よりも』『ラバースベルスーズ』『君のいない海』『Birthday’s Memory』『Cantare~歌よ大地に響け~』『少年』『Dawn』『Offer to the Sea』等々、海が出て来る曲のなんと多い事。なのに、泳げないなんて…。 私の海へのあこがれは、2016年夏に初めて体験した感動のシュノーケリングで決定的なものになりました。今まで何度も見に行った水族館ではなく、眼下に広がる本物の果てしなき海の世界! シュノーケリングをしているので口は開けることは出来ず、ただただ感嘆の唸り声をあげてその美しさに見入りました。しかし、その手は常に浮き輪を掴んでいたのです。そんな自分がどうにももどかしく、帰宅後まず、水(海)への恐怖心を取り除きたい!と、この時から一念発起してプールに通い始めたのでした。

 初めてプールに入った日は、ただ浮く事さえ恐怖という状態でしたが、蹴伸び、キック、クロール、と少しずつ泳げるようになってゆき、2年後の石垣島では、ライフジャケット、ウェットスーツも脱いで海の美しさを存分に堪能することが出来たのでした。しかしこの時、透明な美しい海を水面から覗いていた私の眼に入ったのは、遥か下の方で、サンゴ礁の近くで泳いでいる色とりどりのお魚さんたちを見ているダイバーの方たちでした。「良いなあ~…もっと近くで、お魚さんと一緒に泳げたら感動的かも…」その憧れは、昨年の秋にGo toキャンペーンで行った沖縄での体験ダイビングをきっかけに、大きな自分への挑戦へと繋がっていったのでした。「この時を逃したら、もう次はない!」覚悟を決めて、9か月先の日程を組み、スキューバダイビングの資格取得のコースを予約しました。沖縄から送られてきた『PADI Open water diver』のマニュアルを読み、必死で覚えました。~この歳になって、こんなに一生懸命に試験勉強をするなんて…~と自分でも驚くほどマニュアルはアンダーラインだらけになりました。


▲1日目の筆記試験の様子
 しかし、だんだんとページが進むほど、命と直接かかわるような厳しい内容が書かれており、日が近づくにつれて恐怖心に苛まれるのでした。「息を吐かずに浮上すると肺が膨張して破れてしまう!」「減圧症になったらどうしよう」「シリンダー(酸素ボンベ)の空気が吸えなくなったらどうしよう」中でも一番怖かったのが「マスククリアー」でした。慣れてしまえばなんてことのない事なのでしょうが、海の底でマスク一杯に海水を入れて、入った水を鼻息でマスクの外に出すという事は、私にとっては生きるか死ぬかというほど覚悟のいる事でした。

と申しますのは、初日の学科試験はクリアーしたものの、翌日のプール実習の「マスククリアー」で2回水を吸って咳き込んでしまったのです!あまりの苦しさに、誤嚥性肺炎で逝ってしまった最愛の母の苦しみを思いました。

「もう駄目だ…、私にはとても無理…」そう思いながらも、「いやいやここで引き下がったら絶対に後悔する!何のためにここに来たのか!」そして脳裏を~あきらめないで明日を信じ~♪と『Sure Tomorrow』の曲が流れるではありませんか!

「人生は自己への挑戦をし続ける事!」更には~たゆまぬ努力と祈りがあれば、全ての事が必ず叶う~と『父の言葉』が脳裏を流れ、「よし、行くぞ!」と気合を入れて再度挑戦すると、遂に!「マスククリアー」OKに!!
▲沖縄出発前にはPCR検査を受診。陰性のお墨付きをいただきました!!

本当に長い2日目でしたが、その日の全てのスキルが終わった時、諦めずに挑み続ける私を見ていたインストラクターが「私なら、あの時点で諦めていました。よく頑張りましたね。視ていてこちらまで涙が出そうになりましたよ」と声をかけて下さいました。しかし、3日目からが本番!3日目は、むせたら直ぐに水面に顔を上げて咳が出来るプールではなく、10メーター下の海底で行わなくてはならないのです。美しい景色に囲まれた楽園に来ているというのに、恐怖で熟睡なんぞ出来ません(>_<)。翌日は、緊張感による胃の痛みを抱えながらボートダイビングへ。 いきなり海の底はあまりにも荷が重いので、海底まで行く前にもう一度ラダーで(船の後ろについている水中への階段)でマスククリアーをトライさせてもらいました。

 「いざ出陣!」海底に着くとまずは、レギュレーター(酸素を吸う吸い口)を外して相手の口元まで持って行き、又自分の口にくわえ直すスキルの試験。レギュレーターを外している時も、息を吐き続けないといけないのですが、これは難なくクリアー。そして、次は問題のマスククリアー。マスクに水を入れ始める時に咳き込んだ私は、これをスタートする一瞬が生と死の分かれ目というほど覚悟を決めて行わなくてはならないのです!暫く気持ちを集中して「行くぞ!」とやってみると「OK!」サインが!そして、次は「マスク一杯に水を入れて下さい」とボードに書かれました。いよいよ来た!失敗したら命は無い!もの凄い緊張感!!たぶん、あの時の私は凄い目力でインストラクターを見つめてスタートしたと思います。「行くぞ!」自分でマスクの中一杯に海水を入れて目を見開くと、ぼんやりと見える海の景色。そして、一気にマスクから鼻息で水を外に出す。インストラクターを見ると、「未だマスクに水が残っているから全部出しなさい!」との合図が。残っている海水をもう一度出す。そして「OK!」サインが。もう、緊張で全身ガクガク!!

 とりあえずはホッとしたものの、マスククリアーだけではなく、キックの仕方も問題に。実は、私の身体に合ったXXSサイズのBCD(潜降と浮上の際に空気の出し入れをするジャケット)の用意が無く、大き過ぎてシリンダーが固定されずに左右に動いてしまうのです。しっかりと背中の真上にシリンダーが乗るようにして流線型を保って進まなければなりません。これにも苦労しましたが、4日目にコツをつかみ、キックで真っすぐに進めるようになりました。

 もう一つ大変だったのは、シリンダーに加えて、ウエイト、BCDや残圧計等の器材一式約20kgを背負ってボートの上で踏ん張る事。子供をおんぶしたことのない私にとって、これまた必死でした!そして、ボートのへりに腰かけてバックロールでそのまま後ろ向きに海にでんぐり返しで飛び込むことは、実際海の上でいきなり行うには非常に怖いチャレンジでした!これも、気合を入れて「行くぞ!」とでんぐり返しで後ろ向きに海に落ちてゆくと、水しぶきと共に美しい海の中に泳ぐお魚さんが見えたのです!「うわ~!感激!」この快感が忘れられなくなって、次からは毎回バックロールに。こうして、無事にスキューバダイビングのCカードを取得することが出来ました。 これからは元気でありさえすれば、ず~っと年齢制限なく海に潜ることが出来ます。海の感動を作品として生み出すためにも、何としてもこの資格が欲しかった…。
▲ボートの上での
器材セッティング

 オリンピックが始まり、アスリートたちが大変な思いをしながら沢山の感動を届けてくれる映像に接する度に、しみじみしみじみ「諦めないで良かった…」と思いました。この夏の体験を胸に刻み付けて、これからも、悔いのないよう精一杯「今」を生きてゆきたいと思います。

 お世話になったインストラクターの皆様に心よりお礼申し上げますと共に、このCカード取得までの数日間、一日も欠かさずに身体に良いものを差し入れしてくださった有川玲子さんに、心から感謝いたします!

お陰様で、本当にありがとうございました!!


▲インストラクターの芳美さんと

▲遂にやったね!
サウンドインスタジオで『歌が息をする』混声版のレコーディング

 7月17日、市谷のサウンドインスタジオで、教育芸術社より11月発刊予定の『My Song 7訂版』に収録される『歌が息をする』の混声版のレコーディングが行われました。演奏してくださいましたのは、3月の時と同様、指揮:佐藤洋人、Pf伴奏:浅井道子、『Youth Choir Aldebaran』の皆様でした。東京は、この日も緊急事態宣言発令中のため、前回と同様にソーシャルディスタンスを取るため、AスタジオとBスタジオにそれぞれ分かれて入り、一人一人透明な仕切りが立てられた空間でのリモートによる同時録音でした。合唱団の皆様は、なかなか練習が出来ない状況下にも拘らず、歌えることに感謝しながら元気いっぱいに歌って下さいました。終了後、代表の方と、響き合うことの難しい環境下での合唱についてお話させていただいたのですが「我を出すのではなく、自分の歌に責任を持つということで、コロナ禍での練習は大変勉強になりました」と仰っていたのがとても印象的でした。

 5月に『けやきホール』で1年3ヶ月ぶりに行われた『コーラスハルミオン』の練習の時も、ステージの上と客席に分かれ、2重のマスクを着けて、バラバラに散らばって歌った皆さんはさぞかし歌いにくかったのではないかと思っておりましたが、そのような逆境を、又とない勉強の場と受け止めて歌って下さった参加者の皆さんの事を想い、あらためて感謝いたしました。

♪コーラスハルミオンご報告
 7月24日、緊急事態宣言下ではありましたが、5月の『けやきホール』での強化練習後初めて、ムジカハルミに於いて運営委員による総会が行われました。団員の皆様には、予めパートリーダーより『議案書』と『議案採決票』が送られ、昨年度の定時総会と同様に、電子メールによる回議方式で開催するというものでした。堀江さんのハルミオン運営に関わる微に入り細に入りのご尽力と、運営委員の皆さんの貴重なご意見のお陰で、運営規則の改正案が整い、久し振りに運営委員の皆様と充実した時間を過ごさせていただきました。

あとは、皆で歌えたら…!
練習再開の日を心待ちにしつつ、閉会致しました。今後の練習日程は、ホームページの『コーラスハルミオン』のページでお確かめください。

 5月に『けやきホール』で行われた『Pure Voices』成果発表に、初出演された並木果南さん(左から2番目)は、その後ソリストとしての個人レッスンも始められ、頑張っていらっしゃいます。
 成果発表の日にお母様が応援に来られてたのですが、大変感動されたご様子でしたので、帰り際にお声をかけさせていただいたところ、その場でコーラスハルミオン入団を決めてくださいました。

 お伺いしたところ、路子さんは果南さんよりも前から高橋晴美作品を愛聴してくださっており、2017年に雙葉学園同窓会ホールで行った『新生 Pure Voices』記念コンサートにも親子で聴きに来てくださっていたのでした。

そのお母様の路子様から素敵なメッセージが届きましたので、ご紹介させていただきます。

親愛なる晴美先生

 この度はハルミオンにお声掛け頂きありがとうございます。あの時私は、嬉しくて嬉しくて、シッポを振っていたと思います。 私は毎日、仕事の行き帰りに車の中で晴美先生の曲を聴いています。窓全開で「夢飛行」をリピートして、ブレスのタイミングを探ったり、共に歌って息切れしたり、信号待ちで深呼吸してみたり。

 職場は学童保育施設ですが、毎日全力投球で帰りにはクタクタ。それでもエンジンをかけると聴こえてくる晴美先生の歌声。「ああ、そうだ!雲の上は青空!」と前を向く力を頂いて、「ひとつ」の世界をめざすんだ!と思いを愛にシフトして。

 晴美先生の曲は「愛」「平和」を歌っているのに言葉も旋律もすべて柔らかくて優しくて軽やかで限りなく愛おしくて、なのに涙が出てくるのは何故なのでしょう?  四字熟語で伝えられるよりもずっとずっと心に刺さるひらがな言葉です。芯から強い愛ってこんなにも美しく柔らかいものなのか、と思います。  晴美先生の世界に一歩でも近付けるように、花を1輪心に添えて、まぁるい笑顔の人になりたいと思います。

素敵なメッセージを、ありがとうございました。

どこかで、誰かが、作品に耳を傾けて幸せな気持ちになってくれている…。本当に嬉しい事です。 
「愛のピアノ」第2弾作成、いよいよ心熱くして向かわせていただきたいと思います!
コロナ禍の猛暑ですが、どうぞくれぐれもお身体お大切に、お健やかにお過ごしくださいませ。

2021年8月吉日
高橋晴美
高橋晴美の音楽ネットワークのご案内
『高橋晴美の音楽ネットワーク』は高橋晴美の音楽の素晴らしさや聴いたり歌ったりする喜びを分かち合い、高橋晴美の音楽をもっともっと日本中いや世界中に広めて行きたいという思いで立ち上げた音楽ネットワークです。

会報の発送などはすべて有志のボランティアで行われておりますが、ホームページの作成及び維持費、郵送費、紙代、印刷代などは会費によって賄われています。

会員の皆様には、数々の活動状況も含めホームページ、メールや郵送で皆様方のもとに届けさせて頂くだけでなく、CDやDVD、親睦会、コンサートの料金割引等の特典もございます。 高橋晴美の『愛と優しさの輪』を拡げてゆくために是非、音楽ネットワークのご入会、ご協力のほど宜しく御願い申し上げます。

「高橋晴美の音楽ネットワーク」は、2021年で22周年を迎えました。
これもひとえに皆様の温かな ご支援のお陰様と、心より篤く感謝申し上げます。これからも、世代を超えて、多くの方々に愛と 希望をお届けしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
◆更新に関しまして

毎年2月は後援会の更新月にあたりますので、お手数おかけいたしますが、更新手続きをお願いいたします。
又、新規入会の方も宜しく御願い申し上げます。

◆年会費に関しまして

・PCメールでのニュースご案内をご希望の方:年会費2,000円
・郵送でのニュースご案内をご希望の方:年会費3,000円

上記の年会費を下記へお振り込みください。
窓口からお振込みの場合
・振込先 :ゆうちょ銀行
・口座名 :高橋晴美の音楽ネットワーク
・口座番号 :00180-1-446596
ゆうちょ銀行のATMからお振込みの場合
・振込先 :ゆうちょ銀行 ○一九(019)支店
・口座名 :高橋晴美の音楽ネットワーク
・口座番号 :446596
・預金種別 :当座預金
他の金融機関のATMからお振込みの場合
・振込先 :ゆうちょ銀行 ○一九(019)支店
・口座名 :高橋晴美の音楽ネットワーク
・口座番号 :0446596
・預金種別 :当座預金

※メール会員ご希望の方は、必ずメールアドレスをご記入ください。
高橋晴美の音楽ネットワーク 運営委員 (五十音順)
有川玲子 鴨下恵 後藤敬子 櫻田富恵 佐々木理保子 高橋裕 高橋有里子
坪田恵美子 土佐野恵子 中西由美子 中山宏子 西史子 堀内直治 堀江熙 若林悟

高橋晴美のオリジナル曲を歌う直属の混声合唱団「ハルミオン」で一緒に歌ってみませんか?
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