高橋晴美の音楽ネットワーク ニュースレター              


 11月も駆け足で過ぎて行き、いつの間にか12月、あっという間の1年でした。皆様におかれましてこの1年はどんな一年でしたでしょうか。きっと実り多い一年であった事とお喜び申し上げます。
 さて私は、この11月は「ひとつ」の曲でスタートしました。前にもお知らせいたしましたが、11月1日、セシオン杉並に於いて、「ヒロシマナガサキ平和の祈り五色のコンサート」が行われ、「ひとつ」がイベントのテーマ曲となりました。主催はNPO法人「風の船」の理事リーブス彌生さん、そしてシナリオは西江行雄さんによるイベントでした。
        

 きっかけは「ひとつ」を聴かれたお二人が平和のメッセージを伝えるコンサートのテーマ曲にこの作品をお使いになりたいということでした。西江さんは9月11日に目白の東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた「愛と希望のコンサート」でも「ひとつ」をテーマ曲として用いていらっしゃいましたが、ビブラフォンで静かに始まる「ひとつ」の開演の音は、心の奥まで染み入ってくる響きでした。今回は、いつものコンサートとは違い、私が実際にステージに上がるのはフィナーレの演奏でしたので、1部の被爆体験者のお話は私も客席で聞かせていただきました。
 舞台転換の合間に、舞台中央に掲げられた『祈り』の墨絵シルエットが浮かび上がり、そのバックに「ひとつ」の曲が、ビブラフォン、弦楽合奏、子供たちの歌と、いろいろな形で演奏されるのを聴きながら、今回のイベントで「ひとつ」を弾かせていただく事の意味をじっとかみ締めておりました。

 被爆体験者お二人の語りの後に演奏させていただいた「ひとつ」はグァテマラで広島原爆投下記念日に演奏した時の事も思い出し、切実なる祈りを込めた演奏となりました。
拭い去れない痛みと悲しみ…されど、平和な未来を築くのは愛しかない…。
 何よりも感動したのは、この日「ひとつ」1曲を歌うために応募してきてくださったピースネット合唱団75名の想いでした。団員の中にはあの「森のパレット」の方が子供も含めて12名参加してくださいました。最前列に並ぶ子供達を見ているだけで心が和みました。子供は、まるで原爆後の荒地に新芽が息づくかのような希望を感じさせてくれました。
 グランドフィナーレではピースネット合唱団と合奏団アンフィニに日本フィルのメンバーも加わってくださり客席と共に歌い上げた「ひとつ」。一人一人の祈りが、きっと地球の裏側まで届いた事でしょう。客席から聞こえてきた「ありがとう!」の声に、このコンサートに参加させていただいて良かったと、あらためて思いました。


 そして驚いたことにその翌日、11月1日コンサート同日に、原爆を投下したティベッツ機長が92歳の生涯を閉じていた事を知りました。大自然の営みの中で天が何を言わんとしているのか…すべての御霊が愛で救われてゆき、一日も早く全人類が愛でひとつとなる時代が訪れることを願ってやみません。

 

♪11月2日 酒田市希望ホール 感動の酒田市中学生合唱祭 ♪

 11月2日は酒田市希望ホールで行われた酒田市中学生合唱祭で、高橋晴美ワールド〜「ひとつ」の世界〜のコーナーで講演をさせていただきました。約1000人の中学生が歌う「ひとつ」のなんと清らかなこと!与えられた時間内で果たしてどれだけの事を伝えることが出来たのか…、最後に客席の酒田市全11校の中学生と一緒に演奏した「ひとつ」は生徒達の目の輝きと共に生涯忘れられない思い出となりました。会報「夢飛行」でもお馴染みのあの長谷部浩先生がどれだけの思いで待っていてくださったか…。初めて対面できた時は感動でした!3年前の酒田市中学生による初めての合唱祭で、先生の指導なさっている4中が「ひとつ」を歌ったことにより、酒田に「ひとつ」の種が蒔かれたのです。
 今日までの長い道のり…。先生方お一人お一人のお話を伺って、この日までの「ひとつ」の長い軌跡がひも解かれ、本当に心が震えました。
 酒田に伺って何より感動したのは、今回の酒田講演にお招きくださった池田校長(元学校教育課長)のお人柄と、池田校長を中心として集まった先生方の、生徒たちに対する愛の深さでした。命を懸けて生徒達に夢と希望を与え続ける池田校長の姿に接し、改めて「ひとつ」がもたらせてくれたご縁に感謝の想いが溢れました。

 日本海の海の幸を美味しくいただきながら、「ひとつ」と出会い、歌い、指導し、生徒達に愛を伝え続けてくださった先生方といつまでも話が尽きませんでした。最後に長谷部さんの指揮でみんなが歌い出した「ひとつ」。〜人と人がとけてひとつ 今日も幸せ感じあいたい〜思わず私も皆さんと一緒に歌っていました。そのあたたかな余韻が今も続いております。

 その翌日は、早朝より酒田を案内していただきました。日枝神社の雨上がりの紅葉を見、日和山公園から酒田港を眺めその後ろに流れる最上川を眺めました。その頃には朝方の雨はすっかり止んで、あたたかな日差しが酒田の街を照らしてくれました。日和山公園にある日本最古の木造の灯台をバックに写真撮影をした後、清々しい朝の緑の中を散歩し、その後山居倉庫に向かいました。

 山居倉庫は今も使われている木造の米蔵群で、とても興味深く眺めていると、そこに昨日歌ってくださった生徒さんが池田校長と一緒に現れたのです。偶然という計らいに彼女達も「やったー!」と嬉しそう。送られてきたそのショットを見て、思わず微笑んでしまいました。なんと嬉しそうな私の顔!忘れられないワンシーンです。発車時刻までの限られた時間を贅沢なほど味わって酒田駅へ。走り出す列車の窓から庄内平野を眺め、この二日間のあたたかな人と人との心の交流をかみ締めながら高山へと向かいました。車窓から見える日本海の美しい事…。海岸線、水平線を眺めながらの8時間の列車の旅は、疲れるどころか日頃味わえない至福の時となりました。お土産にいただいたお菓子をいただいていると愛が心に沁みてくるのです。素晴らしい人との出会いをいただき、美しい日本の風景を見せていただき、天の計らいに感謝の想いが溢れました。前日『あなたの部屋に野の花ひとつ いつも安らぎを届けてあげたい』の部分を強調して講演いたしましたが、この酒田で私がいただいた『時』は、まさに「ひとつ」という曲を愛して止まない方々からの愛に満ち満ちた『野の花ひとつ・・・』の贈り物でした。

 11月末に、池田校長より、第六中学3年生全員で田植え稲刈りをして手塩にかけて育て上げたお米「六中米」が届きました。それと一緒に「命をいただき、命をつなぐ」というタイトルの新聞が同封されておりました。その内容に目を通し、行われている教育の素晴らしさに感動致しました。池田校長は「命をいただき、命をつなぐ」は「ひとつ」に通じるものを感じるとおっしゃられていましたが、こういう先生の元で学べる子供達はなんと幸せな子供達でしょう!酒田に蒔かれた「ひとつ」の愛の種が、多くの生徒達の心の糧となってゆきますように・・・と、あらためて祈る想いがいたしました。素敵な時と、素敵な出会いを本当にありがとうございました。

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2007年12月吉日 高橋晴美
                             
    

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