高橋晴美の音楽ネットワーク ニュース レター  


 澄み切った青空の下に、秋風が舞う美しい季節、皆様お元気でいらっしゃいますか。10月10日から12日まで、歌い手の遠藤いつ子さんと、音響の黒田勝也さんと一緒に山形県酒田市に行ってまいりました。
1年振りの庄内空港でしたが、池田成男さんと池田誠晴先生との懐かしい再会に心が躍りました。
 今回のコンサートの模様を、2011年の杉並公会堂大ホールで「八幡小学校校歌〜今、思い出を輝きに変えて〜」の指揮をしてくださいました池田誠晴校長先生が綴って下さいましたのでご紹介させていただきます。


 
 待ちに待った2015年10月10日。「ついに・・・この日が来たね! 思い願ったこの日が・・・・。夢が叶うね! 良かったね、成男さん。」などと話 しながら、二人で盛り上がりながら、橋晴美先生、ソプラノの遠藤いつ子さん、音響の黒田勝也さんをお出迎えに、本コンサートの発起人である池田成男さん と共に胸を轟かせながら庄内空港に向かいました。
 成男さんは、現在酒田市の会計管理者という重責を担う部長級の職にある方で、この度のコンサートの第一発起人であり、高橋晴美先生の音楽の大ファンで す。彼は、昨年度までは酒田市松山総合支所長の職にあった方で、昨年10月、酒田市立八幡小学校創立5周年記念式典に校歌を作詞・作曲くださった晴美先生 が講師として招かれたとき、余暇の時間に私と一緒に晴美先生を秋の鳥海山や城下町松山の歴史ある街並みを案内いただきました。このとき、成男さんの口か ら、「来年は酒田市が周辺3町と合併した10年になる年です。酒田が周辺の3つの町とひとつになって10年、この節目に是非晴美先生の楽曲「ひとつ」を中 心としたコンサートをしていただくことはできないでしょうか・・・・・。これが実現できれば夢のようなことなのですが・・・・」と晴美先生に思いを語られ ました。晴美先生のお人柄ですから、その話にしっかりとお耳を傾けてくださり、「その思いすてきですね!そのお気持ちにお応えし、私なりにお役に立てたら 幸せです。今後企画が具体的に進みましたらご遠慮なくご連絡ください。」というご返事に、傍にいた私も思わず「それは凄い!私も何でも協力します! 成男 さん実現しましょうよ!」と心を熱くして身を乗り出しました。
 そんなこんなで、成男さんの発案した「酒田市の願いと夢」を叶えるべく、その後この夢に向かって成男さんと色々相談をしてきました。成男さんの思いは、 酒田市東部地区の松山「眺海の森音楽祭」実行委員会の皆様のご賛同を得て、本年度春に実施に向けた動きとなり、このコンサート酒田市合併10周年記念〜 「ひとつ」に思いを込めて〜高橋晴美コンサート《眺海の森音楽祭》の開催が現実のものとなったのです。
 
 コンサートは2部構成で企画され、第1部は夢飛行、少年、Silent love、海よりも空よりも、母に贈るうた、あした〜 Sure Tomorrow 〜、父の言葉、今日 虹を渡る日 〜ひとつに捧ぐ〜 のプログラムで遠藤いつ子さんのソプラノ独唱のステージ、晴美先生の情緒豊かなお 話しを曲間に交えて凡そ60分の至福の時間でした。
 開演第1曲「夢飛行」、晴美先生の華麗なピアノの音色が会場に響き渡り、遠藤さんの澄んで伸びやかな歌声がすてきなピアノに乗って、わくわくドキドキす るような、気持ちの良い“飛行”でした。観客の一人ひとりに語りかけるような遠藤さんの歌唱力に聴衆は引きつけられ、すてきな音楽を楽しんでいる様子が伝 わってきました。第2曲の「少年」が終わったとき、私の後ろに集団で座っていた男子中学生の一人が「すごい!」と一言小さな声を発したのが聞えました。そ の一言だけ、その後は、第1部終わりまで会場はシーンと静寂のままで観客それぞれが晴美先生の音楽に聴き浸り、奏でられる音楽のエナジーに“共振”してい る空気が会場にあふれていました。
 第1部が終わった後、晴美先生の音楽の素晴らしさにまた一層惚れ込み、同時にこんな居心地の良いコンサートは実に久しぶりだと感じました。それは、すべ ての観客の皆様が奏でられる音楽にどっぷりと浸っていたからです。特に中学生の姿に感激しました。中学生は概ね音楽の鑑賞をする際、10分も経てば誰か彼 かが聴いている音楽から気持ちが離れ、隣や前後の仲間にちょっかいを出したり、私語を発したりして、静寂が壊されざわつくことが少なくありません。このよ うに真剣に音楽に聴き入る中学生の姿に接したのもまれなことです。
 このコンサート第1部の60分近い時間、プログラムをめくる音も無く、咳払いやひそひそ話などの雑音というものが全くなく、ステージからの音楽にひたす ら向き合っている静寂と何とも言えない穏やかで温かい空間になっているのです。こんな心地良いコンサートの中に身を置けて音楽を感受できるなんてこの上な い幸せなことです。
 こんなすてきな時間は、やはり晴美先生の音楽作品の質の高さと演奏の素晴らしさが創り上げたものです。七色に光り輝くような晴美先生のピアノの音、技術 の高いタッチから生まれる小気味良い的確なアーティキュレーションとディナミーク(強弱)豊かで明快なシラブル、心に染み入り心うつフレージング、晴美先 生の奏でるピアノは実に凄かった!
そしてそのピアノに透明なトーンでの神聖な表現、抒情的で情感豊かな歌唱表現で晴美先生の音楽の奥深く幅広い内面を見事に表現している遠藤いつ子さんの歌は、言葉では表現しきれない感動をあたえてくださいました。
 又、今回のコンサートであらためて、晴美先生の音楽の世界に黒田勝也さんがいることの素晴らしさを感じ入ることができました。晴美先生の音楽は、とりわ けひとつ一つの音の“いのち”をとても大切にされ、その“いのち”が息づき光っていると感じています。その“いのち”は、繊細であり、重厚であり、そっと 内に潜んだり、大きく外に開かれたり、とダイナミックに変化します。それを一層際立たせる音響の黒田さんは、素晴らしい晴美先生の音楽の世界を熟知してい らっしゃると、あらためて実感しました。

 休憩後の第2部は、晴美先生の合唱曲のプログラムで、酒田市の「八幡小学校校歌〜今思い出を輝きに変えて〜」、「ひとつ」、「星降る夜に」、フィナーレは「ありがとう」のプログラムです。
 「八幡小学校校歌〜今思い出を輝きに変えて〜」は、東京杉並、沖縄宮古島市、浦添市、福島市、沖縄宜野湾市での“高橋晴美チャリティコンサート”で観衆 から大絶賛を浴びた楽曲の一つです。このように酒田市の小学校の校歌でありながら、全国の多くの方々の心に響き、心熱くしてくれる晴美先生のすてきな名曲 を杉並のホールでの東日本大震災チャリティコンサートでの演奏の模様を映像で紹介しました。
 このDVDに収められた演奏の音も64チャンネルハイクォリティーライブ録音で黒田さんの秀でた音響技術によって収録されていますから、映像から流れる 音に包まれて、そのコンサートの場にいるような臨場感に包まれ、晴美先生の音楽の魅力に心揺すられ、その魅力に浸ることができるのです。
 続いてのプログラムは、地元地域の東部中学校の生徒45名が晴美先生のピアノでソリスト遠藤さんも加わり「ひとつ」を混声合唱、この日の合唱のために集 まって練習してきた生徒たちが「ひとつ」に込められた晴美先生の思いを受け止めながら、そして統合した自分たちの中学校が、市町統合して10年になった酒 田市が、今後もっと「ひとつ」になるように、と願いを込めて歌いあげてくれたと感じます。
 晴美先生の優しくも重みのある「ひとつ」についてのお話で、中学生の音楽する心が大きく揺さぶられ、彼らが最高のやる気と集中力を見せた合唱だったと思 いました。晴美先生のピアノの音に心洗わる思いをもちながら、彼らが心を込めた「ひとつ」を歌い合うことができたことは、私にとってもとても嬉しいことで したし、松山地区のそして酒田市の未来の大きな財産である彼らの心に大きな感動の時間がもてたことは、大いなる喜びです。聴衆の皆様からの大きな拍手の響 は、彼らの心に貴重な力として、今後に生きることでしょう!
 「星降る夜」の前奏が美しく流れ出し、遠藤さんと“コーラス庄内”の皆様が合唱、澄みきった秋の天空に瞬く星を静かに見つめながら聴いているような心地で、心洗われ、心が綺麗になる時間でした。
 フィナーレの「ありがとう」は圧巻でした。これまで何度かお聴きした「ありがとう」ですが、こんなに心打つ「ありがとう」を演奏されているときの晴美先 生いつ子さんの心情はいかばかりのものか、きっと様々な思いやお気持ちを整理されて、共にご一緒の思いを響き合わせて奏でていらっしゃったのではないかと 感受しました。歌の途中で涙が滲みました。演奏が終わって、しばらくの間、その余韻に浸っていて拍手ができませんでした。それほど心に強く響く素晴らしい 演奏でした。

 閉演後、名残惜しそうに会場を後にされる皆さんのお顔は「幸せな気分」と感じられるご様子でしたし、言葉を交わした方々は、「贅沢な音楽会だった」、 「心洗われる思いをした音楽会でした」との言葉が次から次へとお聴きすることができました。観客の中には、遠く仙台市からお友達を誘っておいでいただいた 合唱・吹奏楽指導をなされているS.Kさんは、「質の高い演奏会でしたね!来て良かった、素晴らしい演奏会だった!」と語られ、遠路の帰路につかれまし た。そして、翌日次のようなメールを送ってくださいました。
 「昨日は素晴らしい演奏会でした。帰り道は晴美ワールドの余韻を楽しみながら、話しが弾みました。
“ありがとう”のことばどおり、感謝の思いが天を巡 り、天に昇る思いがします。(中略)コンサートの準備、気配り大変だったかと思いますが、あの晴美先生のすてきな音楽で報われましたね・・・・・」
 高橋晴美先生ありがとうございました。
 そしてソリスト遠藤いつ子さん、音響の黒田勝也さん、このようなコンサートを実現くださり本当にありがとうございました。
 東北の小さな酒田市の一地域、その小さな多目的ホールでのコンサートが、こんなにも大きな感動に包まれ、心ゆたかなで幸せな時間となりましたのも御三人 のおかげです。コンサートを通じて、酒田市の次代を担う地域の大事な中学生を温かいご指導で確かに育てていただきました。彼らの“よさ”を引き出し、高 め、拡げていただきました。感謝いたしております。
 御三人の“愛溢れる”コンサートがまた酒田で実現できますことを新たな夢にしながら、再びお逢いできる日を楽しみにしています。
 
 夢が叶ったね!と発起人の成男さんに声を掛けました。目頭を熱くしながら感動と安堵の気持ちに包まれている成男さんの姿、そしてこのコンサートの具現に 向けて一生懸命な働きをされた《眺海の森音楽祭》音楽祭実行委員会の皆様、松山総合支所のスタッフの皆様の笑顔がとてもすてきでした。皆様のお力のお陰で す。ご苦労様でした。そして、ありがとうございます。
 最後に、《眺海の森音楽祭》「ひとつ」に思いを込めて〜 高橋晴美コンサートに出会えました多くの皆様に、晴美先生の大事なだいじな楽曲「ありがとう」の詞をお借りし、心こめて感謝と御礼を申し上げます。



 池田誠晴先生、池田成男様、お世話になりまして本当にありがとうございました。お二人の素敵なコンビネーションが形となって実現しました事、心より感謝申し上げます。
 2007年11月に長谷部浩先生と感動の初対面をし、池田誠晴校長に酒田を案内していただいてから早いもので8年、「ひとつ」が繋いでくれたご縁で、こ のように素晴らしい酒田との交流を重ねる事が出来感無量です。山居倉庫の前に並ぶいちょうの幹のように、これからも太く長くご縁を育んで行けたら幸せで す。      長谷部先生、コーラス庄内の皆様!ご多忙の中、練習回数を増やして快く参加していただき、本当にありがとうございました。又、次回ご一緒 させていただける時を楽しみにしております。 
 心からの感謝を込めて…。                        
                                       2015年11月吉日   
                                          高橋晴美

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